【序章】

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化け物が私に向かって真っ直ぐ走ってくる。 こんなことで私の人生は終わり……。 割と良い人生だったかもしれないな。 友達や家族に愛されて……でも……。 「やっぱりまだ死にたくなーい!!」 その時、空で何かが羽ばたいた。 大きな羽根を広げて、こちらへ向かってくる……。 新手の化け物!? 私はもう終わりだ、そう思い、目を思い切り瞑った。 バササッという羽根を羽ばたかせる音が聞こえたと同時に、私の前に降り立ったような気配を感じる。 そっと目を見開くと、髪で顔を隠し、鼻の長いお面を付けた男性が目の前にいた。 背中から黒い羽根が生え、着物を着て、足袋を履いている。 ……コスプレ? 「……助けて欲しい?」 助けて欲しい……って? 男性は確かにそう言った。 この人は、この状況で何を言っているの……? 「早くしないと、アレが来ちゃうよ?」 男性が指差す先には、こちらに向かってくる化け物。 えーい、こうなったら、何でもいい! 助けて貰えるなら、それでいい! 「分かった、分かったから!私を助けて下さい!!」 それを聞いた男性は、怪しく笑った……気がした。 お面で顔が隠れているから分からないけど、なんとなくそんな気がした。
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