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「でもさ、遠山くん。彼女を大事にしてあげるのはもちろんだけど、何よりも自分の気持ちを大事にしてあげなよ」
綺麗な円のレンズに宿る、摯実(しじつ)な瞳。
それは俺に何かを諭すように、向けられる。
「……教授も御存知の通り、俺は性格が悪いですから。何よりも自分を優先させますよ」
「そうかい? だったらいいんだけどねぇ」
ゆっくりと外された視線。
そこに含まれた意図を図り兼ねて、思わず目を細める。
「ま、その時がきたら紹介してよね!」
そう言って再び視線を通わせた教授の表情は、いつものゆるい笑顔に戻っていた。
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