【6】君を縛り付ける為の約束を

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教授が時折見せる真剣な表情には、いつも惑わされる。 研究者の鏡とも言えるこの人の心根は、意外にも深く、見通せない。 「……分かりました。もしもその時がきたら、一番に紹介させて頂きます」 「本当かい!? 約束だからねー!」 「その時がくれば、の話ですからね」 「あぁもう、そんなナヨナヨじゃ嫌われちゃうよー? 女子は少しくらい強引な男の方が絶対好きなんだからさっ!」 「……はぁ」 ――確信した。 教授の前世は、女子であったに違いない。 「そんな事より、教授。そろそろ大講義室に移動しますよ」 「あぁ、もうそんな時間かぁ。学部全体説明会なんてもっと面倒だよね」 そう言って渋る教授の背中を押しつつ、俺達は研究室を後にした。
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