【6】君を縛り付ける為の約束を

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説明会が行われる大講義室には、初々しい面持ちの学生がずらりと並ぶ。 その横を、教授の背中を追って通り過ぎて行く。 ――あぁ、億劫だ。 こういう場所には出来る限り、出たくない。 騒がれるのも注目されるのも面倒で仕方がない。 俯き加減で歩く、視界の端。 チラリと映ったのは、愛しい彼女の細い腕と、長い髪。 わざわざ顔を上げて二度見などせずとも、俺の意識が彼女を見違える訳がない。 ……そうか。 「あいさき」だから、一番前の席なのか。 そう気付いたと同時に、前を歩く教授の足が止まった。
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