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入り口で頭を下げて礼を言う彼女を、部屋の奥へと促した。
さすがに拒否されるかと思いきや、彼女は意外にも素直に応じて、ソファへと座る。
どうやら、男に対する警戒心は持ち合わせていないらしい。
今時の女子にしては珍しい部類に入るだろう。
「コーヒーとココア、どっちがいい?」
そう問うと、彼女は面食らったように目を丸くして、こちらを見つめた。
そして頬を染めて俯くと、小さくココアがいい、と答えた。
その一連の反応はあまりにも純真で、こちらまで恥ずかしくなってしまう程だった。
キッチンに向かい、マグカップを2つ取り出す。
彼女用にココアを、自分用にコーヒーを入れて、ソファへと戻る。
その間、何故か彼女は俺の顔をずっと凝視している。
珍しいものでも見るかのような、その視線。
品定め、といったところだろうか。
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