【6】君を縛り付ける為の約束を

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オリエンテーション初日を終えて、帰宅途中の車内。 そこで俺は、彼女が抱いたであろう誤解をどうやって解けばよいか、そればかりを考えていた。 彼女の事だ。 俺に彼女がいるならば、自分の存在は迷惑でしか無い、今すぐにでも出て行かなくてはならない。 ……そんな風に考えているに違いない。 逸る気持ちが功を奏したのか、渋滞に捕まること無くマンションに着く。 とにかく、今は彼女を安心させなければならない。 表情にはいつもと変わらぬ優しさを乗せて彼女の前に出ていこうと決め、鍵を開けた。 家の中に広がるのは、空腹を誘う和の香り。 それは彼女がいつもと変わらず、俺を待っていてくれた事の証。
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