【6】君を縛り付ける為の約束を

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「ごめんごめん、冗談だよ」 正直言うと、本当はもっと苛めていたかった。 が、さすがに度が過ぎると彼女に嫌われてしまいそうなので、この辺りでやめておこう。 俺はこっそりと謝罪の意を込めて、彼女の頭を優しく撫でた。 俺の充足の為に苛めて…… ごめんな、優愛。 「冗談……ですか?」 「どーせ、優愛は『出ていきます』って言うんだろ?」 俺の言葉に、強張っていた彼女の肩がゆっくりと落ちた。 安堵からか、その瞳は微かに潤んでいるように見える。 からかわれていたという確信を得た彼女は、眉尻を落として目を逸らした。 彼女の全ての所作が愛らしくて、愛おしい。
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