【6】君を縛り付ける為の約束を

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「春樹さん。聞いて欲しいことが、あります」 ふいに、彼女を取り巻く空気が変わった。 直ぐにその意図を察した俺は、だらしなく緩んでいた頬を引き締めて、彼女に向き直る。 「何でも聞くよ」 声に乗せたのは、今度こそ彼女を安心させたい一心の、優しさだった。 彼女が少しでもリラックスして話せるようにと、俺なりの心遣いのつもりだった。 そして意を決した彼女が、俺に語ってくれた事。 それは自分の生い立ちと、生まれ育った環境、境遇。 両親が居ない事。 小さい頃から祖母と、母親の妹である叔母の家族と暮らしてきた事。 そして最愛の祖母が、亡くなった事。 ――出会った時から、彼女の不幸は悟っていた。 元々、彼女の生い立ちについては何パターンかの仮説を立てていたので、語られた内容は直ぐに受け入れる事が出来た。 ただ一つだけ、心底驚いた事がある。
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