【6】君を縛り付ける為の約束を

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俺のこの優しさは、やはり親切心でも何でもない。 全ては彼女の保護者である叔母さんに許可を貰い、彼女を正式に迎え入れたいが為。 ……いや、違うな。 彼女に不幸を与える存在から、彼女を奪う為に、だ。 本音を知られれば、俺は一瞬で彼女に嫌われてしまうのだろう。 なんせ俺は「彼女の不幸な境遇に感謝」をしておきながら 「彼女に不幸を与える存在から救いたい」という悪質な矛盾を、堂々と自身で認めているのだから。 これはけじめという名の強欲。 彼女が俺の元から逃げ出す理由を、帰る家を、奪うだけの行為。 ――さぁ、交わしに行こうか。 君を縛り付ける為の、約束を。
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