【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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彼女の実家に向かう途中、俯きがちな彼女に向かってなるべく多くの話を振った。 少しでも気分が上がるようにと選んだラジオは、何時ぶりかの、陽気なパーソナリティがキャッチーなJ-POPを紹介する歌番組だ。 そんな俺の気遣いを、彼女も感じ取ってくれたのだろう。 不安や緊張の色を時折見せるものの、行きの車の中での彼女は、意外にもよく笑ってくれた。 「あ、ここです」 そして着いた彼女の家。 車を側道に停めて、辺りを見渡す。 ここが彼女の生まれ育った場所、か。 ……別に、彼女を嫁にくださいとか、そういう話をしに行く訳ではない。 けれど、それに近しい事を宣言するのは確かだ。 そう考えると、やはり多少、緊張はするものだ。 俺が誰かの為に緊張する日が来るだなんて。 数ヶ月前までは、俺自身を含めた誰にも予想出来なかった展開だろう。
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