【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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「優愛」 俺は彼女の頭にそっと手のひらを乗せた。 彼女の不安も焦りも緊張も、全て包み込むように。 君は何の心配もいらない。 ここから先は、全部俺に任せてくれればいい。 そう想いを込めて、笑顔を落とした。 やがて玄関から現れた叔母さんは、とても綺麗な女性だった。 小柄な体格、柔らかな目元、特別に白い肌。 表情こそ険しいものの、叔母さんの姿には彼女が歳を重ねた先を想像させられる。 血の縁とは、不思議なものだ。 「……生きてたの」 そう言って伏せた目は、やはり彼女の憂いの表情と酷似していた。 そして俺は、一つの確信を得る。 叔母さんはやはり、彼女に対して罪悪感を感じている。 その証拠に、突然現れた彼女を罵る訳でもなく、帰ってくるなと捲し立てる訳でもない。 ただ彼女の謝罪に対して、冷淡に言葉を返しているだけだ。
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