【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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「それで、何? 戻ってきたの?」 それまであからさまに外されていた視線が、やっと俺の方に向いた。 「あぁ、あんた男が居たの。今はそこに住んでるのね?」 そして嫌味たっぷりの嘲笑を送る。 それを聞いた彼女は、隣で小さく肩を震わせた。 叔母さんの矛先が俺に向く事を、彼女は何よりも恐れていたのだろう。 けれど俺には、叔母さんの嫌味など微塵にも響かない。 何故ならその嫌味には悪意がなく、発言に続くであろう隠された本音は、こうだからだ。 『心配して、損をした』 ……叔母さんの黒さなんて、俺に比べたら可愛いものだ。
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