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さぁ、許可はもらった。
どう転がるか分からずぐらついていた基盤も、これで安定しただろう。
後は彼女自身の口から、想いを伝えるのみ。
「明美さん! あ、あの、今までお世話になりました。色々ご迷惑をお掛けしてすみませんでした。ありがとうございました」
精一杯の想いを並べた彼女は、深く深く頭を下げた。
そして中々、顔を上げようとしない。
……いや、上げられないのだろう。
そんな彼女の姿を見て、叔母さんも何か想うことがあったのだろう。
険しい表情の中に、一瞬浮かんだ後悔の色。
「特に世話したつもりもないわよ。わたしよりも母に感謝しなさい。
……せいぜい、死なないように」
叔母さんはそう小さく呟くと、玄関の方へ踵を返し
「顔を見せに来ただけ、姉さんよりましね」
そう残して、家の中へと消えていった。
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