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「分かった。何も言わなくていい」
震える彼女を宥めるように、そっと頭を撫でた。
「とにかく、行く宛も、戻るところもないんだな」
そう問うと、彼女は小さく頷いた。
そうか、それなら
俺が君を、拾ってやる。
「だったらここに居るといい。ここは俺一人で住んでるから、誰にも迷惑はかからない」
馬鹿な事を言っている自覚はあった。
俺みたいな人間に、何が出来るというのか。
けれど本能的に出てきたその言葉は、彼女に有無を言わせないようにと、多少威圧的だったように思う。
どうかしている。
つい先程出会ったばかりの彼女を、救ってやりたいと思っている自分がいる。
本当に、今日の俺はどうかしている。
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