【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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彼女に案内され、部屋の中へと入って行く。 彼女は部屋をぐるりと一瞥すると、奥の仏壇へと歩み寄り、そこで静かに正座をした。 そして小さく「ただいま」と呟くと、リンを鳴らす。 高温が、やがて空気に溶ける時。 静寂に包まれた部屋は、時の歩みを止める。 手を合わせているのだろう、丸まった彼女の背中は、小さく儚い。 動かない彼女の背中を見つめて、じわり、と胸に浮かぶ想い。 ――俺は非科学的な存在など、一切信じていない。 幽霊なんて、以ての外だ。 ただ、この日、この時、この場所だけは 彼女の祖母と、会えるような気がしていた。 ……俺は、彼女の祖母にどうしても伝えたい事があった。
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