【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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やがて彼女の小さな背中が、一時(ひととき)を置いて、背筋を伸ばす。 余韻に浸っているその隣に、俺はゆっくりと歩み寄った。 正直、あまりに動かないので、泣いているのではないかと内心ヒヤヒヤしていた俺は、慎重に彼女の顔を覗き込んだ。 けれど彼女は涙を流すどころか、驚く程柔らかく、そして美しく微笑んでいた。 本当に強い子だと、改めて実感する。 「優愛、俺も手を合わせていいかな」 「もちろんです。おばあちゃんも喜びます」 俺は差し出されたリン棒を受け取る。 そして優しく微笑む彼女の祖母の顔を見つめた後、リンを鳴らした。 再び高音が空気に馴染む時。 徐ろに手を合わせ、瞼の裏に思いを馳せた。
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