【7】全ての悪から、君を守ると決めた

19/43
前へ
/678ページ
次へ
徐ろに瞼を開くと、目尻にしわを寄せて、優しく微笑むおばあさんと目が合った。 その目は、余りにも優しくて。 頑張りなさい、と言ってもらえたような気がした。 隣に視線を送らせると、今度は彼女と目が合った。 俺が微笑みかけると、彼女も微笑みを返してくれる。 ――俺は今、彼女の祖母と約束を交わした。 彼女の真白を、守ると。 それは俺自身を戒めるための約束でもある。 俺の黒が、せめてグレーに変わるまで 俺は絶対に、彼女には手を出さない。 手を出してしまったら、最後。 黒に染められたキャンバスは、二度と白を取り戻せない。 彼女の人生は一度きり。 慎重に、彼女を想い 丁寧に、染め上げていかなければ。
/678ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6454人が本棚に入れています
本棚に追加