【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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「今日から優愛の家になるんだから、好きに使って」 「わたしの……家?」 「そう。許可ももらったからな」 俺は彼女の意識にそれを植え付けるべく、言葉を並べる。 「今日から正式によろしくな」 俺の家が、君の帰る場所なのだと。 すると彼女は、一瞬眉をひそめて 「こちらこそ、よろしくお願いします」 そう、切なさを含めた声を落とした。 どこか、泣き出しそうなその表情。 彼女は何を、想っているのか。 「春樹さん」 「ん?」 「春樹さんはどうしてここまでしてくれるのですか?」 ――思わぬ質問だった。 直ぐには答えられなかった俺に、彼女は続けて問う。 「誰にでもこんなに優しいんですか?」 「あの日、あそこにいたのがわたしじゃなくても助けていましたか?」
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