【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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「俺、自分からベラベラ喋るタイプじゃないから、聞きたいことあったら聞いて」 彼女に向けたこの言葉には、密かに俺の願いも含まれていた。 そろそろ彼女には本当の俺の一部くらいは知っておいてもらわないと、取り返しの付かない事になる。 すると彼女はそんな俺の気持ちを知ってか知らずか、これまた従順に 「以前の春樹さんは、どんな人だったんですか?」 そう問うた。 これはチャンスだと思い、俺は彼女に過去の話をすることにした。 もちろん、大部分を美化して。 俺の生まれ育った環境、どうしようもない親父の事、記憶のない母親の事。 そして彼女には今後一切話す事はないであろう、親父の愛人、その子供の存在。 ……無論、十夜の事だ。 彼女と十夜の間に接点が出来てしまった以上、俺と十夜の関係は、彼女には伏せておくのが得策だろう。 これ以上話をこじらせたくはないし、何より優しい彼女は何かと気にしてしまうに違いないから。
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