【2】頷くことを、切に願って

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彼女はもちろん、遠慮した。 けれど、拒否ではなかった。 俺はそれを良い事に、彼女を言いくるめようと、言葉を紡ぐ。 本能だった。 冷静になっているつもりで、先行するのは俺のエゴだった。 俺のモノになればいい、と。 虚しさを埋めてくれるのは、彼女なのかもしれないと。 そう、感じていた。 けれど戸惑う彼女の様子を眺めて、ふと、冷静さを取り戻す。 ……危なかった。 俺はまた、一人で突っ走るところだった。 彼女が一時の迷いで家出をした、又は全くの違う理由であそこにいたのだとしたら。 俺の提案は彼女にとって、お節介以外の何モノでもない。 それに彼女を待つ人がいるならば、そこに帰してやることが、大人の取るべき正しい行動のはずだ。
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