【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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「春樹さん」 不意に、俺を呼ぶ声のトーンが落ちた。 即座に空気の変化を感じ取り、チラリと彼女に視線を送る。 「わたしも、聞いてほしいことがあります」 真剣な彼女の声色に釣られて、心臓が微かに跳ねる。 「あぁ。何でも聞くよ」 マンションの駐車場へと車を停めて、エンジンを切る。 訪れた静寂に小さく響いた、彼女の「ありがとうございます」という呟き。 仄暗い空間に浮かぶ横顔は、凛としていて美しかった。 伏せた目を徐ろに開いた彼女は、俺を見据える。 ――静かに交わる視線。 空気が止まったかのような、沈黙。 それは短いようで、酷く永い。 耐え切れなくなった俺は、彼女の視線から自ら逃れた。
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