【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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自宅に着き、いつも通り彼女にココアを、自分にコーヒーを入れて、ソファに並んで座る。 彼女はココアを一口啜ると、微かに目を細めた。 そして、しばしの沈黙。 彼女の強張った肩と表情から察するに、彼女がこれから語る事は、容易く他人が触れて良い内容ではないのだろう。 それを思うと、俺に話してくれようとしている事に嬉しさを覚える反面 彼女からの緊張の感染は、免れない。 「優愛、無理に話さなくてもいいからな」 彼女の不安気な表情に耐え兼ねて、そう声を掛けた。 すると彼女は小さく首を振り、ふっと小さく息を吐く。 そしてテーブルの上に置かれたマグカップを一点に見つめると、徐ろに口を開いた。 「小さいころのわたしは、両親がいないことを単純に不思議に思っていました」 その一言を皮切りに、辿々しく語られたのは 彼女の出生、その物語だった。
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