【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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「この手紙を読み終えると、おばあちゃんは泣きながらわたしに言いました」 彼女は俺の手の中にある便箋を一点に見つめ、言葉を落とした。 その横顔を見て思う。 いつもの彼女では、ないと。 彼女のこの目を見るのは、恐らく二度目だ。 以前に見たのは、何時だっただろうか。 『どうかあなたの両親のことを恨まないでほしい。 二人があなたを私に託したのは、あなたを育てるお金も術も無かったから。 あなたは二人に愛されているから、ここにいるの』 「おばあちゃんの涙を見たのはそれが最初で最後です。 とても強い人でしたから、正直驚きました。 それに普段は自分のことを「ばあちゃん」と呼ぶ人なのに、このときだけは「私」と呼んで、口調も女らしくて、親の顔をしていたように思います。 だけど幼いわたしは、おばあちゃんの話を聞いても、この手紙を読んでも、泣くことは出来ませんでした」 彼女は語る。 淡々と、抑揚のない言葉を並べる。 まるで、知らない人の話をするかのように。
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