【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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「だからおばあちゃんが亡くなったとき、わたしの居場所は無くなりました。 存在する理由も分からなくなりました。消えてもいいと思いました」 ここでやっと、彼女の瞳に微かな感情が灯る。 それは、悲壮の色。 愛する祖母の死を思い出して、彼女は悲しみに触れた。 ――そうか。 やっと、分かった。 彼女のこの目を以前に見たのは、彼女と初めて出会ったあの雨の日だ。 絶望に近い闇、亡失、無。 俺がよく知っている筈だった、この目。 両親に対しては、無の感情で 祖母に対しては、有の感情を見せる。 その違いは何処にあるのか、根拠は何か。 ……そんなの、一つしかない。 そこに愛があるか、ないかだ。
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