【7】全ての悪から、君を守ると決めた

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彼女は、愛を知らずに生まれた。 彼女は、愛を注がれて育った。 与えられた愛に情を返すのは、人間の性。 その逆も然り、愛を与えられていない人間には、返す情もない。 だから両親に、何の感情も抱かないのだ。 そして彼女はあの雨の日に、唯一信じていた愛を失ってしまった。 人はいつか必ず死ぬ。 そんな事は分かっている。 老いも死も、逃れられない。 分かっている、分かっている。 「だからあの日、春樹さんが声を掛けてくれていなかったら……」 けれどそれでは、彼女の両親から託された願いが途絶えてしまう。 一人残された彼女には、もう、誰の愛も残っていない。 彼女の中の愛を、枯渇させてはいけない。 誰かが、願いを継承しなければならない。 ……ならば。 「俺が」 ――優しく、愛してやるから。
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