6454人が本棚に入れています
本棚に追加
そう、声に成す寸前。
理性と本能と、溢れんばかりの愛情が絡み合って、音を消した。
衝動的に引き寄せた体温を抱き締めると、驚く程細く小さい身体に、心臓が震えた。
同時に、強い欲情に駆られた。
彼女を腕から引き剥がし
額に、頬に、唇に、キスを落として
このまま抱いてしまいたいと、本能が言う。
葛藤する俺の腕に強く締め付けられた彼女は、苦しそうに声を漏らした。
……ダメだ。
抱き締める強さの加減も分からない、感情を抑えられない今の俺では
美しく脆い真白を、簡単に壊してしまう。
現に今、俺は無理やりにでも彼女を手に入れてしまいたいという欲と、必死に闘っている。
こんな俺では、彼女を優しく愛することなんて、出来る訳がない。
……考えろ。
今の俺が、彼女に出来る事は何か。
彼女を壊さずに、正しく愛でる方法は何か。
――そして、絞り出した俺の答えが、これだった。
「俺が、優愛の居場所になるから」
最初のコメントを投稿しよう!