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おまけにチラリと意地悪に視線を送ると、彼女は大きな目を見開いた。
そしていつものように頬を染めて俯くが、彼女の纏う雰囲気が普段と微妙に違う事に気が付く。
どうやら、今日の彼女は少し化粧をしているようだ。
ナチュラルなので一目では分からなかったが、伏せられた睫毛は丸みを帯び、唇は淡く潤む。
恐らく、化粧は君島さんの手によるものだろう。
普段の彼女よりも大人っぽく、俺得である事には間違いなかったが……
余計な虫が付きそうで、それだけが心配だ。
「えー!? 特別な人って、やっぱ彼女いるんですかぁ?」
クセモノその1は、なかなかにしつこい。
今度は俺の腕に手を添えてきたので、振りほどきたい気持ちを必死に笑顔で押さえ付ける。
「そういうことにしといて」
「えー!?」
クセモノたちはコントのように、息の合った反応を見せてくれた。
これだけマキビシを撒いたのだから、後は寄り付かなくなってくれる事を願うばかりだ。
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