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彼女の目の前で、十夜は歩みを止める。
しばし睨み合うような間の後、十夜の表情が砕けた。
「……フッ」
不敵な微笑が浮かんだと同時に腕が伸び
目の前の彼女を、捕獲した。
「ちょっ、ちょっと……!」
十夜の腕の中の獲物、ウサギは、ジタバタと必死に抵抗する。
しかしか弱い力など、ケモノの前では無力も当然。
尚も不敵な微笑を浮かべたまま、俺を見据えるケモノの目。
さぁ、どうする? と言わんばかりの挑戦的な笑みが、感情を逆撫でる。
――俺を怒らせる事が目的だとは、分かっていても
酷く、不快な苛立ちを覚えた。
その手を今すぐ離せと喉まで上がり、必死に抑える。
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