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その後、無事に集合時間を迎え、学生たちが観光へと向かった後。
俺は一人、保健部屋に籠った。
鬼の熊さんから次に授かった命は
「クセモノと接触しないように超絶暇な保健部屋で一日大人しくしていろ」
……だ、そうだ。
先程の十夜の一件もあり、彼女の身が心配ではあったが、十夜の目的は俺を怒らせる事。
俺の前で彼女に触れる事に意味があり、俺の居ない所で彼女に触れるメリットはないはずだ。
……十夜が彼女に対して、特別な感情を持たない限りは。
俺たちの中に流れる同じケモノの血が、共鳴しない事だけを祈ろう。
俺はトートバッグの中から書籍を1つ取り出すと、春の穏やかな陽光が降り注ぐ広縁に向かい、籐(とう)椅子に腰を降ろす。
乱れた心を落ち着かせる為にも、ここで暫く読書に集中する事にした。
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