【3】これが性悪な俺のやり方

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冷めたコーヒーを一口飲み込む。 喉を通る冷たさが、冷静を誘う。 「……何やってんだ、俺」 思わず独り言を呟いてしまう程、自身の行動が疑問でならなかった。 俺の問いに、彼女は頷いた。 すがるように、潤んだ瞳で。 その目は「拾って下さい」と書かれた段ボールの中から、ひょっこり顔を出している子犬のようだった。 ……子犬? いや、違う。 例えるならば、彼女は……ウサギ。 汚れを知らない、真っ白なウサギ。 知らない場所に連れて来られて、ぷるぷると震えるウサギ。 くだらない妄想が意外にも適格で、頬が緩む。
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