6449人が本棚に入れています
本棚に追加
冷めたコーヒーを一口飲み込む。
喉を通る冷たさが、冷静を誘う。
「……何やってんだ、俺」
思わず独り言を呟いてしまう程、自身の行動が疑問でならなかった。
俺の問いに、彼女は頷いた。
すがるように、潤んだ瞳で。
その目は「拾って下さい」と書かれた段ボールの中から、ひょっこり顔を出している子犬のようだった。
……子犬?
いや、違う。
例えるならば、彼女は……ウサギ。
汚れを知らない、真っ白なウサギ。
知らない場所に連れて来られて、ぷるぷると震えるウサギ。
くだらない妄想が意外にも適格で、頬が緩む。
最初のコメントを投稿しよう!