【8】今夜はどうにも、眠れそうにない

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コンコン、とノック音が聞こえたのは、それから程無くしての事だった。 学生たちはまだ観光の真っ最中だろうし、引率の教員たちも殆どが出払っている。 と、なると…… 「……どうぞ」 「わーい! 失礼しまーす」 「せんせー! お喋りしよー!」 予想通り現れたのは、有志で参加している学生、女子二名。 「私たちは新入生に付いて行かない待機組なんで、暇なんですー」 「遠山せんせーも待機組って聞いて、遊びにきちゃいましたぁ」 「……そう」 今日の俺は、とことんついていないらしい。 二人は俺の許可も得ず、遠慮無しに部屋の中へと入ってくる。 そしてガラステーブルを挟んだ向かいの籐椅子に一人が座り、もう一人は居間から座椅子を持ち出すと、俺の横に座った。
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