【8】今夜はどうにも、眠れそうにない

15/48
前へ
/678ページ
次へ
「じゃあ、今度私と遊びません?」 猫撫で声に誘われて視線を上げると、向かいに座る女子と目が合った。 小柄な身体に、長い髪。 愛しの彼女と似た容姿だが、顔の造りは間逆に近い。 気の強そうなシャープな目に、高い鼻。 俺を誘うように弧を描いた口元には、濃い紅色が映える。 一般的に見れば、美人の部類に入るのだろう。 「遊ばない」 「えー!」 容姿と態度から察するに、普段は誘いを断られる事などないのだろう。 その女子は不服そうに頬をふくらませると、口を尖らせて 「ケチ」 と呟いた。
/678ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6454人が本棚に入れています
本棚に追加