【8】今夜はどうにも、眠れそうにない

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二人は俺の余りの塩対応っぷりに気がそがれたのだろう、愛想たっぷりの笑顔を残し、早々に部屋を後にした。 今頃扉の向こうでは「ツマンナイ」などの言葉が飛び交っているに違いない。 ……ケチ、か。 彼女らにそんな事を言われる筋合いなど無いが、強ち間違ってもいない。 自分でも最近、不思議に思っている事がある。 俺の性欲は、一体何処にいってしまったのかと。 自分が遊びたい時に、遊ぶ。 言い方を変えれば、ヤりたい時に、ヤる。 俺そういう、最低な男だった筈だ。 しかしウサギを拾ってからというもの、一度たりともヤりたいと思わないのだから、恐ろしい。 彼女の真白に感化され過ぎて性欲が消えてしまったのかとも思ったが、彼女を抱き締めた時には間違いなく現れたので、どうやら内に潜んでいるらしい。 少しでも道を違えば、溜まっているだろう性欲を彼女にぶつけてしまうのだろう。 制御出来る自信はもちろん皆無なので、何かの拍子で引き金が引かれる事のないように、注意せねばならない。
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