【8】今夜はどうにも、眠れそうにない

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「今の遠山が昔の俺にそっくりだから、だっ!」 「……は?」 うっかり、失礼な返答をしてしまった。 「はっはっはっ! いやな、俺昔は荒れててよぉ。当時から付き合ってた今の嫁さんにも、めちゃくちゃ迷惑かけてなぁ……」 熊井先生は空のグラスに再びビールを注ぎ込む。 盛り上がった白い泡は瞬く間に喉元へと流し込まれ、ゴクリと音を立てて落ちていった。 「当時の俺は真っ当に生きることを諦めて、この世を冷めた目で見ててな。遠山はその時の俺と同じ目をしてんだよ」 ――諦め。 その言葉は、痛く、深く。 急所を突かれたように、胸に響いた。 「なぁ遠山。お前は何をやらかしたんだ?」 ……宮守教授も、熊井先生も。 どうして諸先輩方は、俺の黒い部分を容易く見抜いてしまうのか。 俺もまだまだ、修行が足りないらしい。
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