【8】今夜はどうにも、眠れそうにない

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「ちょ、優愛?」 「春樹さんっ……!」 彼女は華奢な腕に精一杯の力を込めて、俺にしがみつく。 俺の胸に顔を埋(うず)め、触れた全身から震えが伝わる。 「優愛……」 驚きと、戸惑いと、迷い。 突然の出来事に、動揺した。 躊躇いの中で、小さな背中をゆっくりと腕の中へと取り込む。 すると彼女は腕の力をより強くして、俺に応えた。 「どうした?」 彼女の耳元で、出来る限り優しい声色を囁き落とす。 綺麗に纏め上げていたであろうお団子の髪は乱れ、所々から髪の束が緩み出ている。 「春樹さん……」 彼女自身も酷く混乱しているのだろう。 か細い声で、ひたすらに俺の名を呼んだ。
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