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「ちょ、優愛?」
「春樹さんっ……!」
彼女は華奢な腕に精一杯の力を込めて、俺にしがみつく。
俺の胸に顔を埋(うず)め、触れた全身から震えが伝わる。
「優愛……」
驚きと、戸惑いと、迷い。
突然の出来事に、動揺した。
躊躇いの中で、小さな背中をゆっくりと腕の中へと取り込む。
すると彼女は腕の力をより強くして、俺に応えた。
「どうした?」
彼女の耳元で、出来る限り優しい声色を囁き落とす。
綺麗に纏め上げていたであろうお団子の髪は乱れ、所々から髪の束が緩み出ている。
「春樹さん……」
彼女自身も酷く混乱しているのだろう。
か細い声で、ひたすらに俺の名を呼んだ。
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