6454人が本棚に入れています
本棚に追加
「何かあったのか?」
俺の問いに、彼女は必死に答えようとしているのだろう。
止まらない嗚咽を堪(こら)え、グッと息を止めてはか細い息を吐く。
……これ以上問うのはやめよう。
とにかく今は彼女を落ち着かせる事が先決だと、腕の力を緩めかけた、その時だった。
「……無理……やり……」
か細い吐息が、カタチを成した。
それは一瞬にして俺の脳内を凍り付かせ
やがて、一つの仮説を浮かび上がらせる。
「無理やり?」
再び、彼女を抱く腕に力がこもる。
そして仮説を実証する言葉が、儚くも紡がれた。
「無理、やり……キ、キスされて……それで……」
最初のコメントを投稿しよう!