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この麗しい唇の『ハジメテ』を奪った奴は
間違いなく……十夜だ。
俺が必死に自制と闘い、ギリギリの中で守ってきた彼女の真白を
アイツはいとも簡単に奪い去った。
……ふざけるな。
俺の努力も知らずに
俺の許可も得ずに
彼女に勝手な事をしやがって。
今直ぐにでもアイツの元へ行って、ぶん殴ってやろうか。
「っ……」
彼女の頬が熱を帯びる。
俺がほんの少しでも動けば、容易く唇を重ねる事の出来る距離。
俺はここでも必死に、自制と闘っていた。
ここで無理やり彼女の唇を奪い、記憶を強制的に上書きする事も可能だ。
けれどそれでは、十夜がした事となんら変わりない。
欲情を抑えられない、ケモノの分際に成り下がるだけだ。
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