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このまま見つめていてはダメだと思い、視線を下に逸らす。
すると目に飛び込んできたのは、彼女の鎖骨辺りに赤く刻まれたケモノの『爪痕』。
まるで自分の獲物だと言わんばかりのマーキングを見て
俺の自制は、静かに崩壊した。
「……身体は、無事なのか?」
「はい、なんとか……」
「そうか……」
彼女の身体はまだ白であるという事を確認した所で、その頬から手を離す。
そして彼女の前で跪(ひざまず)き、華奢な肩に手を置いて、顔を上げた。
「ここだけは、消してやるから」
唇に触れたら、俺は間違いなく彼女を襲う。
十夜よりももっと、強い愛情を押し付ける事になる。
「優愛、目閉じて」
けれどせめて、この忌々しいマーキングだけは消し去りたくて
彼女は俺のモノなのだと、証明したくて
「ちょっと、我慢しろよ」
白肌に浮かぶ赤色に、唇を寄せた。
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