【8】今夜はどうにも、眠れそうにない

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しかし活動を終えた学生たちが旅館へと戻る途中、案じていた事が起きてしまう。 その時、俺は数人のクセモノたちに取り囲まれていて、それらを追い払う事に気を取られていた。 その所為で俺の後ろを歩いていた筈の彼女と君島さんの姿を、見失ってしまったのだ。 なんとかクセモノを退治し、歩いてきた道を戻ると、十夜と君島さんが見事な睨み合いを繰り広げていた。 ウサギの彼女は君島さんの背中に隠れている。 「あんたねぇ、優愛がどれだけ怖い思いしたか分かってんの?」 君島さんのよく通る声が響いた。 全くだ、と心の中で同意し、それらしく仲裁に入ろうと、一歩足を踏み出した時。 「怖い? あんなに感じてたのに?」 十夜のこの一言により、俺の脳はまたしてもプツンと音を立てたのだった。
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