【8】今夜はどうにも、眠れそうにない

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「あー……ねみーな……」 緊張の糸が切れたのか、どっと押し寄せる倦怠感。 昨晩、彼女に触れてしまってからというもの。 俺の脳内では、彼女の艶な姿がエンドレスリピートしている。 火照った頬、潤む瞳、跳ねる肩、震える指先、乱れた吐息…… 「……あー」 こんなにヤってないの、何時ぶりだ? ……初めてじゃないか? 彼女が家に来て以来、一度も女とヤってない。 なんだこれ。 俺、勝手に忠犬ハチ公かよ。 相当、色々、たまってんな。 俺は彼女といる限り、これからもこうして独り悶々としなければならないのか。 そう考えて目を瞑るものの、やはり脳裏に浮かぶのは、彼女の姿で。 「……あーダメだ」 今夜はどうにも、眠れそうにない。
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