【9】黒から白は、生まれない

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ここ数日、教授は受け持つクラスの個人面談に追われていて、研究の時間を余り取れていないようだった。 先程の教授の言葉をそのまま借りるとすれば。 “大好きな研究の時間を奪われて、さぞかし不機嫌だろうと思っていたけど、そうでもないようだから安心した。” 2日前には、彼女の親友である君島さんが面談にやってきた。 すると君島さんは研究室に入ってくるなり、俺に意味深な視線を向ける。 球技大会の日、俺は君島さんとプチバトルを繰り広げた。 俺の腹の内を知りたがっているらしい君島さんは、俺に十夜の話をわざと持ちかけ、チクチクと攻め立てた。 俺はそれを躱しつつも、君島さんの笑顔に隠された人間性を窺っていた。
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