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「研究室、狭いだろ。これでも12畳くらいあるんだけどな」
そう言うと、彼女はキラキラと目を輝かせ、頷いた。
どうやら普段は立ち入ることのない空間に興味津々のようだ。
「ここが春樹さんの職場なんですね」
「そうだな。基本的にここにいるから、暇な時は遊びにおいで」
「え、いいんですか?」
「優愛は特別な。でも正木とか、うるさい奴は連れてくるなよ」
そう微笑み掛けると、彼女は何故かバツが悪そうに目線を逸らした。
「あの……春樹さん」
「ん?」
「この前の球技大会の時もそうですし、わたしをあんまり特別扱いすると、その……変な噂が立っちゃいますよ?」
そう言う彼女の眉根が微かに寄せられているのを見て、言葉に隠された想いを察した。
じわりと染みる悦楽に耐え切れず、俺は意地が悪くも聞き返す。
「……変な噂って?」
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