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「じゃあ、次は家族についてだけど」
家族、か。
特異な環境で育った彼女だからこそ、彼女自身が持つ家庭は人一倍幸せであって欲しいと、心から願う。
いや、そう願っていたはずなのに、俺はそれすらも無視して、彼女を強引に手に入れようとしていたのか。
本当に、我ながら大したエゴだと呆れてしまう。
「えーっと。藍崎さんは、今はおばあさんと叔母さん家族と一緒に住んでるってことでいいのかな?」
「あ、えと……」
彼女は返す言葉に困っているようだった。
恐らく、この場に俺がいることを気に掛けているのだろう。
「あの……実は今、遠い遠いとおーい親戚の方の家に居候させて頂いていて……」
……なるほど。
「ほー? 大学が近いとか?」
「あ! そうそう、そうなんです!」
彼女は教授の発言に「助かった!」と言わんばかりに表情を明るくした。
耐え切れず吹き出しそうになった俺は、慌ててパソコンの陰へと身を隠す。
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