【9】黒から白は、生まれない

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彼女の、こういう純真な所が可愛すぎて、困る。 俺はにやける顔を落ち着かせようと、ふぅと小さく息を吐いた。 「なるほどねー。ところで藍崎さんさ、よくウサギに似てるって言われない? ガタンッ 「あっれー? 遠山くん、どうしたの?」 「……いえ。失礼しました」 ――くそ、やられた。 意表を突かれて、うっかり電卓を落としてしまった。 顔を上げると、教授はそれはもう無邪気な満面の笑みで、こちらを見つめていて…… ……。 完全に俺の反応を見て楽しんでいる。 初めてパンダを目にした子供のような、そのキラキラとした瞳が……非常に腹立たしい。
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