6456人が本棚に入れています
本棚に追加
面談を終えると、教授は彼女と俺を食事に誘った。
念願のウサギに出会えた教授は、何かを企んでいるに違いない。
それを分かっていても拒否しなかった俺は、心の何処かで教授に賭けていたのかもしれない。
彼女に俺の過去を曝け出す「止むを得ないきっかけ」を作ってくれるのではないかと。
「それでねー! 学生の頃の遠山くんはもーモッテモテで!」
酒が入り饒舌になった教授は、それはもうベラベラと俺の学生時代の生活を暴露した。
彼女は興味深そうに微笑みながら、教授の話に耳を傾けている。
俺は時折過ぎた教授の発言にツッコミを入れるものの、不思議とこの空気に心地良さを感じていた。
「遠山くん、かっこいいのにねぇー。他人に対してちょーっと冷たいところがあるよね」
教授のこの発言に対し、彼女は「え?」と目を丸くする。
本気で俺の事を優しい善人だと思っている彼女に、今更ながら罪悪感を覚えた。
最初のコメントを投稿しよう!