【9】黒から白は、生まれない

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面談を終えると、教授は彼女と俺を食事に誘った。 念願のウサギに出会えた教授は、何かを企んでいるに違いない。 それを分かっていても拒否しなかった俺は、心の何処かで教授に賭けていたのかもしれない。 彼女に俺の過去を曝け出す「止むを得ないきっかけ」を作ってくれるのではないかと。 「それでねー! 学生の頃の遠山くんはもーモッテモテで!」 酒が入り饒舌になった教授は、それはもうベラベラと俺の学生時代の生活を暴露した。 彼女は興味深そうに微笑みながら、教授の話に耳を傾けている。 俺は時折過ぎた教授の発言にツッコミを入れるものの、不思議とこの空気に心地良さを感じていた。 「遠山くん、かっこいいのにねぇー。他人に対してちょーっと冷たいところがあるよね」 教授のこの発言に対し、彼女は「え?」と目を丸くする。 本気で俺の事を優しい善人だと思っている彼女に、今更ながら罪悪感を覚えた。
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