【9】黒から白は、生まれない

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「始業式なんてダルいよねぇ。1時間もくだらない話聞かされるなんてまじ勘弁!」 女は迷わず俺の元へと歩み寄る。 大きな窓の下、誰がいつ持ち込んだのか分からない一人掛けのソファ。 ここが、俺の定位置。 「ねね、始業式だからブレザー着てきたんだけど、どぉ? 可愛い?」 「知らねー」 「ひっどーい! お世辞くらい言ってくれてもいいじゃん!」 女は口を尖らせる素振りを見せたものの、直ぐに不敵な笑みへと変え、ソファの肘掛けに手を付いた。 「私ブレザー嫌いなんだよねぇ、肩凝るし。だからさ、遠山くん」 女がここに来た理由。 それはサボりに来た訳でも、俺と喋りに来た訳でもない。 「脱がして?」
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