【9】黒から白は、生まれない

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細められた目と、描かれた紅の曲線、その姿はまさに女狐。 俺以外の男とも見境なくヤってんだろうな。 「朝っぱらから盛ってんね」 「だってぇ、遠山くんと会えるのもあと1年って思ったら、急に会いたくなっちゃって」 「ふぅん? アンタ3年なんだ」 「ひっどーい! 初めて会った時に言ったじゃん!」 女は今度こそ尖らせた口を、俺に寄せた。 「ね、早くシないと、始業式終わっちゃう」 そう言って女は踵の潰れた上履きを脱ぎ捨て、俺の上に馬乗りになった。 躊躇う事なく、俺のYシャツのボタンを1つ、1つと外していく。 「あのさぁ」 女が全てのボタンを外し終えた所で、その身体を引き剥がした。 後ろによろけた腕を掴んで反転させ、ドン、とソファに投げる。 「俺、見下ろされるの大嫌いなんだよね」
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