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「はい、終わり。よくできました」
ふわっと笑ったその人は、俺の頭にポンと手を置き、くしゃりと撫でる。
そして踵を返し、デスクへと戻って行った。
「……は?」
「ん? なに?」
「いや……なんでもない」
人に、頭を撫でられた。
その行為自体、俺には初めての出来事で、拒否する暇もなかった。
「ねぇ、もう喧嘩なんてやめなよ」
「……あ?」
「綺麗な顔が台無しだよ? ま、でも」
振り返ったその人は、俺を見据える。
昇りきらない陽光を背にした、翳りのある笑み。
「もしまた怪我したら、その時はいつでもおいで」
エタノールの香り、そよぐカーテン。
「ハルくん」
メゾソプラノの声。
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