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リビングに戻ると、彼女は何故かソファの後ろに座り込んだまま、頭を抑えていた。
そして俺の顔を見るや否や、頬を染める。
昨日と寸分違わぬ反応に、思わず笑みがこぼれた。
和やかな気持ちで始まる朝など、下手したら生まれて初めての経験かもしれない。
彼女にココアを渡すと、遠慮がちに口に含んでいく。
その表情がゆるりと柔らかくなっていく様を、横目に感じていた。
どうやら、彼女はコーヒーよりもココア派らしい。
彼女は俺がソファで寝ていたことを、自分の所為ではないかと気にかけている様子だった。
確かに、彼女のことを考えていたらいつの間にか寝てしまったのだから、彼女の所為でもあるな、なんて思いつつも。
余計な心配をしないようにと、彼女を優しく言いくるめる。
けれど彼女の表情からは、曇りが消えない。
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