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幸せの絶頂期であるはずが、その人は旦那について語る時、必ず意味深な間を含ませる。
「……うん、旦那の話はまぁ、いいよ」
その後は決まって、分かりやすく取り繕った笑顔を見せた。
あからさまに気を引くような態度を取るので、突っ込んで聞いてやろうかとも思った。
けれどそれまで極力人との関わりを避けて生きてきた俺には、デリケートな問題に対しての適切な距離感が分からず、結局深くは触れられずにいた。
その人の空気は、不思議な心地だった。
その人は特別美人でもなければ、目立った魅力がある訳でもない。
ただ、穏やかに時間だけが過ぎた。
――季節は移ろい、春半ば、雨降らしの季節がやってくる。
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